CEOインタビュー

他社がやっていることと同じことをやるのはおもろくない。他社がやっていない新しい価値の提供こそが僕の正義です。

井上 慎一 Peach Aviation CEO

  • ずばり「Peach」の存在価値とはどんなところにありますか?
  • Peachが大切にしていることはなんですか?
  • Peachのこれからについて教えてください。
  • Peachが求める人材はどんな人ですか?

新しい価値の提供を通して、日本・アジアの人々を元気にHappyにすること

お手頃な運賃により、
札幌に単身赴任のお父さんが、大阪の自宅に毎週帰る。
大阪に住む孫に鹿児島から気軽に会いに行ける。
気の置けない友人と「今週の土曜日、台湾で喰いだおれせーへん?日帰りで」と気軽に海外旅行を楽しむ。
大好きなアイドルの全国ツアーをハシゴする…

会いたい人に気軽に会いに行く、行きたいところに気軽に行く。
そうした誰もが思いもしなかった新しいライフスタイルがPeachによって出現しています。

帰省も、旅も、コンサートも、行く回数が増えれば、その回数分の笑顔が生まれ、Happyが生まれますよね?今まで1回だったのが3回になれば3倍、5回なら5倍、人々がどんどん元気になっていく。
そこではFace to Faceのコミュニケーションが生まれ、人々の心が動き、あらゆるものが繋がりはじめ、繋がりが繋がりを生んでいく。その結果経済にも刺激を与え、社会全体も元気になっていくはずです。おもろい旅で人々が元気になって、社会も元気になる。

人と人との触れ合いから生まれる感動や、ワクワク、笑顔、それは間違いなく人を幸せにしてくれるものだと思います。Peachでいう「人間愛」です。
私たちが目指すのは、そうしたおもろさを通じて人間愛を育むエアラインになること。
継続的なイノベーションを通して様々な顧客価値を創造し、Peachに関わる全ての方々に元気とHappyを提供し続けることこそ私たちの夢なのです。

Peachが大切にしていることはなんですか?

安全運航を絶対的価値としながら、一方でイノベーションを通した新しい顧客価値の創造を継続的に行う、これです

安全第一。これは航空会社としての絶対条件であり、Peachにおいて何よりも優先されるものです。ただ、それだけでは他の航空会社と大きな差別化にはなりません。多くのお客様にPeachを選んでご利用頂くためには他社との明確な差別化が必要です。そのため日本にはなかったLow cost model を構築し、“空飛ぶ電車モデル”という価値を実現しました。“空飛ぶ電車モデル”に徹底したコスト意識は欠かせません。機材調達や社屋・設備といった大きなことから、コピー用紙1枚、空調の設定温度に至るまで、私たちは1円にこだわり、コストマネジメントに取り組んでいます。

その上で、私たちが大切にしたいのは「愛」。例えば新たな路線を開設した際、もちろん経済的な合理性やマーケットポテンシャルでも判断しますが、それに加えて大切にしているのは、Peachがその地域、町にどう貢献できるかという視点です。
実際にPeachが就航して分かったのが、人の流動がいきなり活性化することです。就航地にたくさんの人が訪れる。そうすると経済が活性化する。今やPeachのメインベースとして元気を取り戻した関西空港がまさに好例です。
就航前は「関西で航空会社を経営するなんて無謀なことだ」とか、色々と言われましたけどね(笑)。
また、東北や沖縄への就航も同じ発想。私たちにできる社会貢献は何かという視点も含めて選んでいます。現在、仙台路線は非常に搭乗率の高い路線の1つになりました。「人への愛」、「地域への愛」を追い求める姿勢が、私たちの成長を支えていると実感しています。

そうした「愛」を育むということは、これまでの航空輸送事業の常識に縛られていてはできません。
今までにない価値を生み出すのですから、お客様のために何ができるのかを、今までにない考え方で模索し、実現することが必要です。

そのためにPeachは、安全に関すること以外なら挑戦と失敗を奨励しています。挑戦ありきの失敗には、価値がある。むしろ、何もしないことの罪を私は問います。創業前、一橋大学イノベーション研究センターの米倉誠一郎先生から「既存のモデルのコピーでは面白味もなく、またビジネスに勝ち目もない。イノベーションは潜在需要を掘り起こし、新しいムーブメントを創出する。Peachはイノベーションにこだわって潜在需要の獲得を目指すべきだ」と言われたことは、未だに私を突き動かす原動力です。
昭和30年代、あの時代はうちわが扇風機に、夜行列車が新幹線に、紙芝居がテレビに代わり、やがて世界中を驚かせたホンダの低公害CVCCエンジンや世界で新しいマーケットを生み出したソニーのウオークマンに繋がっていきました。ありとあらゆる場所でイノベーションが起きまくっていたのが昭和という時代です。GDPも10年で激増し、もう社会全体が元気と活気に満ち溢れていた。それもこれもイノベーションがあったからだと信じています。イノベーションが可視化され、暮らしの中に行き渡ることで、社会は元気になるのです。だからこそ私は日本を元気にするためにも、イノベーションにこだわりたい。持続的な成長にはイノベーションが欠かせない、そう考えています。

また、米倉先生と、RYANAIRを世界一の規模のLCCにした、Patrick Murphy元会長に期せずして同じ心構えをご教授頂いたことも忘れられない思い出です。いわく、「一人称で語れ」。何かが上手くいかないのはすべて自分のせいであって、何事も自分がやるしかない。これは私だけでなく、社員にも口を酸っぱくして話しています。「もたもたしていたら僕がやっちゃうよ」って(笑)。

Peachのこれからについて教えてください。

本気で世界一のLCCを目指します

今、世界で一番のLCCはといえば、RYANAIR。ヨーロッパを中心に60以上の拠点、300機以上の機体で運航して、年間8,000万人以上のお客様を運んでいます。最終的に、Peachはこれを越えたい。関空と沖縄の2拠点で13機しか機体を持っていない新興LCCが何を寝ぼけたことをと思うかも知れませんが、よく考えてみてください。RYANAIRが展開しているヨーロッパの人口は、2億数千万。彼らが運んでいるのはその中の、8,000万人というわけです。一方私たちが飛んでいるアジアはどうか。人口でいえば20億を下りませんから、そのうちの1割を運んだだけで2億人の輸送実績になる。いきなり世界一です。

もちろんそれは最終的な目標の話。世界一を取るために、私たちがやらなければならない課題はたくさんあります。その一つが運航品質の向上。お陰様でPeachは、2013年度の就航率で99.6%を記録しました。でも、RYANAIRも99.6%。ただし、300機以上の機材で運航していますから、この差はとても大きい。安全を絶対とした上で就航率を極限まで高めるためには「本気で世界一のLCCを目指す」、この思いをいかに社員に浸透させられるか。それがポイントですね。安全に飛ぶことを前提として就航率を高めれば、「あそこはちゃんと飛ぶ」というお客様からの信頼に繋がります。これは競合に対する大きな武器になりますから、特にこだわりたいですね。

そして次なる課題が、差別化。他社との違いをいかに明確に打ち出していくか。元々「Cute & Cool」というブランドメッセージを掲げて就航したPeachは、「Kawaii」の元祖であるルネや日本最大のファッションと音楽のイベントGirls Awardとのコラボなど、今までのエアラインと一線を画してきました。最短5秒で終わるチェックインマシンや、機内のモニター等はないけどコンテンツはある、機内エンターテイメントサービスの提供も話題を呼びました。これからも色々なことに挑戦し、お客様に「Peachだから乗りたい」と思っていただくために、Peachらしさを発展させていかなければならないと考えています。

Peachが求める人材はどんな人ですか?

Peach人になれ

私が社員によく言うのは「Peach人になれ」。Peach人に必要な要素は3つです。

1つ目は安全・定時運航に対して一人称でのこだわりを持つこと。2つ目は新たな顧客価値を生み出すことに無上の喜びを感じて情熱的に挑戦すること。そして3つ目は同僚やパートナー企業を含めた仲間を思いやること。この3つです。

1つ目は、どの部門で働く社員であれ“自分が”Peachの安全と定時運航を守るというこだわりを持って欲しい。Peachで働く以上、人事も財務も営業も、組織に関係なく全員が一人称で安全・定時運航を語り、自分でできることを日々見つけていってほしいと思います。

2つ目に必要なのがイノベーションと情熱(Passion)。お客様に喜んで頂くために、今までにない価値を生み出すことを何よりも楽しんで欲しい。私自身も、休みの日に自宅でくつろぎながら、何をすればお客様のためになるかをよく考えます。これを実現すればスゴイぞとか、えらいことになるぞとか、ニヤニヤしながら思いを巡らせています。そして、それを他の誰にも先にやられたくない。何があっても自分がやってやるんだと。そうなればどんな障害があっても結果を出すために、泥だらけになってでもやってやろうという気になります。そして必ず結果を出す。そういうプロ意識を持った人にぜひ来てもらいたい。

最後は、仲間に対する優しさ。一緒に働く上司、同僚、後輩はもちろん、お世話になっている取引先や関係者の皆様にも「Peachと仕事をして良かった」と思ってもらえるよう、振る舞って欲しい。社内であろうが、社外であろうが、同じ目標を共有する仲間として、思いやって欲しいですね。当然提供できるキャッシュには限りがありますし、潤沢ではないかもしれません(笑)。でも、それ以上にPeachのバリューでお返しする。そうやってPeachに関わる人々がHappyになること。それが、私たちが掲げる「愛」の一つなんです。

Peachは、絶え間ないイノベーションで社会にワクワクを、元気を、愛をもたらそうとしている会社。既存の枠組みの効率化だけでやっていこうとしている会社ではありません。ですから業務の効率化だけを目指したい人はPeachで働いても辛いと思います。Peach人の3大要素に共感し、何かおもろいことをやってみたいという野心や発想を持っている人を求めています。

そういう人が活躍し、会社が大きくなれば利益はできるだけ社員に還元したいと願っています。社屋はそれなり、でも、社員は豊か。そんな会社って、おもろいと思うんです。そうなるまではしんどいかもしれませんが、そのしんどさを一緒に楽しんでくれる人はwelcomeです!

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